とうとうやって来た十周年当日。
少し早く集まった錺屋・月屋の女子スタッフたちは、祝詞と鏡開き、会場の準備をし、
そうたくんと岩本しょーくんは、臼と杵を借りにいき、餅つきの準備をしてくれました。
スタッフが全員あつまったところで、
翼さんの司会のもと、祭事がはじまりました。
雅楽が流れ、あゆみさんが祝詞を唱えてくれました。
(緊張してたけど、大変上手でした。昨晩練習してくれたんでしょうか。)
女将挨拶は、昨晩カンペまで作ったのに、アツくなりすぎて恥ずかしかったので、
ただただ、感謝を述べました。
そして鏡開き。
これからの十年へ向け、気持ち新たにパッカンと!
一発で割れました。
祈願の成就を願い、みんなで祝酒を酌み交わしました。
そうしている間にも、蒸されている餅米。
そのままがっつきたくなるくらい、いい香りがします。お昼時でした・・・
初めは、杵でぐいぐいと潰していきます。
こう見えて、しょうこちゃんの足元はハイヒール。
潰れたら、そおれ、よいしょー!
よいしょー!
次のを蒸している間に、どんどんつき上がるので、だいどこは大忙し。
いつもの餅つき機でついた餅と、仕上がりがぜんぜんちがう!
スタッフも順番に、そして来場者のかたにも、
代わる代わるついていただきました。
10年間の感謝を杵に込め、
思いっきり振り下ろしました。
金魚家さんにいただいたあまおうで、
自家製あんこの、つきたて苺大福!
みんなでついて、まるめて、食べて、餅つきっていい日本文化ですよね*
今回しょうこちゃんご実家の餅米を、お祝いにいただきました。感謝。
そしてご来場の皆さまには、
お酒とお餅を振る舞いたかったのに、お祝いを頂いてしまい・・・どうしたものでしょうか。
本当に、ありがとうございました。
餅つきを片付けて、一旦中締め。
夜は、関係者で打ち上げをしました。
今回のお料理、なんとスタッフ女子たちの心こもった手作り持ち寄り!
まずそれで泣きそうに。
女将らしく全員にお酌してまわり続ける予定をしていたのですが、
美味しくて、全種類制覇するのに夢中になってしまいました。
面目ない。
お能の前田さんとあゆみさんが、余興に高砂を披露してくれました。
芸が出来るって素晴らしい。
もうお目出度すぎて、
なんだか盆と正月と誕生日が一緒に来たみたいでした。
10年前、右も左も分からん私の背中を押し、
手取り足取り導いてくれた和楽庵女将。
支えてくれたのは、お宿仲間にお友達。
常連さん。
そして歴代スタッフのみんなです。
この日も、私がやるべきことを、何も伝えずとも裏でやってくれ、
さすがのチームプレイでございました。
至らないところばかりなのに、こんなに楽しい1日になったのは、
スタッフみんなの尽力のおかげです。
そんなみんなの高い自主性は錺屋の誇りです。
はじめての誕生日にプレゼントしたピアスをつけてきてくれたり、
錺屋マーク(七宝柄)の着物を着てきてくれたり。
逆に裏方として動きやすいよう、洋服で来てくれたり。
思いやりのある、素晴らしいひとたちです。
そして私はここ数日で、数万枚ある10年間の写真を見返しました。
改修中、何気ない日常、季節の行事、旅行、出会った人、食べたもの。
色鮮やかに、きらきらして、懐かしくて。
大変なこともあったのかもしれないけど、どうでもいいくらい、
とっても幸せな10年間でした。
十年一昔。
確かに10年経ち、世の中は移り変わってしまった。
それでも変わらずお選び頂き、ご贔屓にしてくださり、本当にありがとうございます。
祭事の前々日、チェックアウトされたお客様が去り際に、
「ここを守ってくださいね、ここだけは変わらないでいてくださいね」とおっしゃいました。
突然だったので、少し不思議だったのですが、
もしかしたら、なにか代弁してくれはったのかもしれません。
これから先ますます激しくなる流れの中、
取り残されてしまわないよう、舵を取りながらも、
“いつもの錺屋”であるよう、一同頑張ってまいりますので、
何卒よろしくお願い申し上げます。
女将 上坂 涼子